実銃レビュー/AR-15A4

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ARの後にAR無し

mark_one_AR15-03aカスタム前(左)とカスタム後(右)の同モデル。

我々、射的屋には当たる銃ほど心強いものはない。ハッキリ言えば、銃の価値観は、作動云々よりも、当たるか否か?この2点に集約されると言っても過言では無い。

AR15系との付き合いも25年を超え、その間に30万発以上の実射を行った計算になるが、500m先のシルエット・ターゲットの中心部分にコンスタントに命中出来る5.56mmライフルは、M4やHK416、SCAR-Lでも無く、未だにフルサイズのAR15系の独壇場である。その理由は、以下でも紹介するので、参考にして頂きたい。

AR15と言えば、ベトナム戦争時の作動不良問題の印象も強いが、過酷なツアーでも高い作動率を誇っている。しかし、未だに、AR系のリュングマン方式のボルト周りには、欠陥を抱えていることもあり、定期的な点検やメンテナンスは欠かせない。

先日、ラスベガスの最新のAR15A4のボルトが3,000発程度の発射で断絶寸前となった。もし、Colt製のAR15の心臓部がこの様な状態で米軍に納入されていたなら、FNH社製に正式ライフルの座を譲ったことは自業自得と言わざるを得ないだろう。

AR系の米軍採用の理由は5.56mmの軽量高速弾による携行弾数問題も挙げられるが、何より銃が軽さと命中精度の高さがベトナム戦争初期に投入されたM14を凌いでいたことが、最大の理由であると考えられる。歴史を振り返っても、米軍は精度を重視する傾向が強いからだ。

未だにM14もEBR等に改修されてはいるが、1930年代のM1ガランドを踏襲したガス・システムでは軽量化は不可能である。

mark_one_AR15-04バレルはノーマルのColt製(1/7ツイスト)を使用、ガスブロックも交換

mark_one_AR15-05ハンドガードはKnight’sのRAS(LONG)に交換してフローティング式に

AR-15A4(SAM-R)
口径:5.56×45mm銃身長:20インチ(mm)
装弾数:30+1発全長:1,003mm
重量:3,990g作動方式:ガス(リュングマン)・オペレーション
100mの平均グループ:30mm

AR-15A4の魅力
・M4より高初速で弾頭を発射できるので射程が長い
・M4の1.3倍のパワーを引き出す
・MK262を使用すれば600mを超える狙撃が可能
・銃身線長が長いのでA2サイトはスコープなしでも高精度を発揮する
・アンビ式マニュアル・セフティが標準装備されている。

AR-15A4の問題点
・M4同様、コッキングしなければ、マニュアルセフティが掛からない。
・トリガーが重い(要交換)
・ボルトの強度が弱い。(要交換)
・A4レシーバーのレールの位置が低く短い
・30Rdマガジンを付けるとプローン(ベンチ)射撃が出来ない。

等が挙げられる。

AR系とフローティング・バレルの真価

ハワイのAR15A4(以下AR15)には、MK12 mod1同様にKnight’s社のRASを搭載している。これは海兵隊の分隊狙撃銃(Squad Advanced Marksman Rifle=SAM-R)とほぼ、同じ仕様である。一見、オリジナルの様に見れるが、レシーバーの根元にハンドガードが直接連結されているので、バレルがフローティング状態である点がノーマルと大きく異なる。

フローティングバレルとノーマルの精度差はどれくらいあるのか興味を抱くであろうが、僅かにグループを向上させる程度で、どちらかと言えば、重いバイポッドをバレルに干渉させない為の手段として使用されると考えた方が良いだろう。実際、今回のカスタムしたAR15は20年前のAR15A2のヘビーバレル搭載モデルと、ほぼ同等の精度であった。

また、逆にバレルの過熱が進むと、フローティング・バレルの方が、数発が弾道から外れるフライヤーを発生させやすい弱点もある。この点を解消させるには、ヘビーバレルを使用することが一般的であるが、逆にライフル自体の重さが犠牲になる。

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また、AR15を語る際にも、装弾時の誤解を指摘しなければならない。M4を含むAR系の右側には独自のフォアード・アシストが存在するが、これを射撃中は頻繁に使用するイメージが多いらしい。以前のM4でも紹介した様に、レンジでは安全確認のためにボルトをホールドオープンした状態なので、これを使用することは殆どない。

米国のレンジでもAR系の射撃時にチャージング・ハンドルを使用した後に、毎度「カチャ、カチャ」とフォアード・アシストを押すシューターを見かけるが、ボルト・ストップを押せば、強力なアクション・スプリングの前進力でボルトは閉鎖する。そもそも、チャージング・ハンドルという名称は、使用する頻度から「ボルト・プラー(ボルト引き)」に変えても良いくらいだ。

最後に年配の方の中には、ベトナム戦争映画の影響か、弾を入れたマガジンをカンカン叩く人もいるが、この必要も無い。

mark_one_AR15-05A最近ではM-LOKが主流なので、重いRASは時代遅れだ

mark_one_AR15-06ボルトストップには、Magpulのエクステンションを装着

mark_one_AR15-07 アンビセフティの場合、指への干渉を避けるためにトリガーガードの交換も必要

mark_one_AR15-08スコープを搭載したARにはチャージングハンドルのエクステンションも必要。

mark_one_AR15-09トリガーも定評のある、Geissele(2ステージ)に交換

AR15A4 vs M4

ベトナム戦争時、SOG等の要望でAR15よりもジャングルでも取り回しに優れたXM177が投入されて、これらのカービン路線はやがてM4まで引き継がれるが、M4の14.5インチバレルではM193の弾頭をフルスペックの3,200fpsを発揮させることが出来ない。

かつて、ユージン・ストーナーがAR10を開発した際に、オリジナルの銃身長は、この20インチタイプであった。初速が早いと風の影響を受ける時間が少なくなり、当然、遠射性能も向上する。

この辺は、海兵隊が、M16A4を使い続ける理由でもある。実際、両者の差は100mでも顕著に現れる。ノーマルのM4のグループはせいぜい65mm前後が相場であるが、AR15A4は50mmを切る事ができる。

つまり、刀に例えるなら、M4は脇差で、AR15は太刀であり、600mを超える射程を叩き出すライフルマン本懐のライフルと言える。また、M4に比べて銃身の長いAR15の方が、反動を強く感じることもあるが、これは、銃身内で弾が長い時間、加速される影響でもある。

mark_one_AR15-10僅か3,000発で断絶寸前のColt製のボルト

mark_one_AR15-11ココヘッドレンジのAR-15A4

mark_one_AR15-12上手く撃てば100ydで約30mm程度に集弾する

AR15の実射とコツ

AR15は採用から半世紀を経た今も、素晴らしいパフォーマンスを見せるが、本家だったColt製は手抜きの為か、トリガー・プルが平均で3kg以上と、かなり重い。まずは、これをGeissele(2ステージ/2kg)に交換する方法が一番である。

それと、心臓部のボルトはチタン等の硬化ボルトへの交換して6倍以上のスコープを搭載すれば、500mまでの射撃には充分対応出来る。

DSC00091AR系にはボルト周りの強化が不可欠

今では、多くのARのフラットトップ部分は延長され、様々なデバイスに対応できる様になっているが、ノーマルのAR15のレールの位置が低く短い為に、スコープの取り付け位置が狭いばかりか、イヤプロテクターがストックと干渉しやすくなる。特に、高倍率のスコープは初心者にはアイリリーフの位置を見出すのが難しいので、指導するのが手間が掛かることが多い。

事前に射撃姿勢とトリガー・プルの練習をして撃って頂くが、前傾射撃姿勢をとり、フォロースルーを決めて撃てば、本来のAR15の性能を発揮できるだろう。

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ハワイでは、100mの記念コイン撃ちに(直径38mm)にもチャレンジできる。AR15で撃つなら、5発中、2発程度が平均的なスコアである。結果は公式記録として上位のシューターはランキングで紹介している。難易度は高いが、何よりも自分のモチベーションが上がるので、ハワイに来たら、是非、挑戦頂きたい。

次回は実銃CZスコーピオンEvo3について語ります。

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